その世界には一つの掟があった。
『夜に外に出てはならない。人を喰らう化物に攫われてしまうから』
御伽噺のようにそれは語られ、長い時を経ても受け継がれている。一部、唯の御伽噺だと言いつけを守らない者は姿をくらまして消えてしまうが、それでも人は足掻き、数は減らずに平穏は保たれていた。
人間は自身よりも強き者、吸血鬼と相対し生を掴み取ろうとする。
吸血鬼の現当主は何を考え人を嫌うのか、その意図は人間には見せず霧のように隠し、唯敵対を望む。
人間と吸血鬼。互いの想いが交差する時、機械仕掛けの神は何を願うのか。
それは、平穏を願う者達の物語。
――求めうるは、機械仕掛けの理想郷。